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2017/02/10

タンゴ界にイノベーションを巻き起こした三大巨匠

アストル・ピアソラ。ピアソラの名を知らなくとも、タンゴにあまり詳しくない方でも、サントリーローヤルのCMにも起用された"リベルタンゴ"という曲は耳にしたことがあるでしょう。"リベルタンゴ"を作曲したピアソラは、タンゴをベースにクラシック、ジャズの要素を融合させた独自の演奏形態を築き上げた「タンゴの革命児」として日本でも有名ですが、タンゴ界にはピアソラ同様、斬新な発想でタンゴ音楽に革新をもたらした音楽家がいます。今回はその中でも3名の巨匠をご紹介したいと思います。


  


フアン・カルロス・カセレス。今や多くのグループが演奏するまでになった "タンゴネグロ (黒いタンゴ)"というジャンルを確立したアーティスト。タンゴ音楽のルーツの1つでもあるアフロによる影響を尊び、管楽器や打楽器等も取り入れつつアフリカから奴隷が持ち込んだ音楽 "カンドンベ"、"ムルガ" とタンゴを融合させた"タンゴネグロ (アフロタンゴ) の父"と言われる人物です。
2007年、ティエンポが設立10周年を記念し東京、福岡で開催したラテンフェスティバル 「アニマテ!」にフアン・カルロス・カセレス率いる "タンゴ・ネグロ・トリオ"が出演しました。同氏は昨年永眠しましたが、2007年の 「アニマテ!」出演が惜しくも生涯初めてで最後となる日本での公演となりました。来日以降、日本でも急激に人気の高まった"タンゴ・ネグロ・トリオ"。再来日が待ち望まれていただけに、同氏の訃報にファンに大きな衝撃を与えました。




  
タンゴの偉大な詩人 オラシオ・フェレール。ウルグアイ出身で後にアルゼンチン国籍を取得した作家、詩人、タンゴ歴史家です。オラシオ・フェレールはそれまでのタンゴの歌詞に新しい流れを生み出しました。作詞を手掛けた曲は200曲を超え、なかでも“Balada para un loco (ロコヘのバラード)” と “Chiquilín de Bachín (チキリン・デ・バチン」)” は、その歌詞を聞くだけでアルゼンチン国民が胸を熱くするアルゼンチンの国歌に値するタンゴの名曲です。両曲ともにかのアストル・ピアソラが作曲を担当しました。オラシオ・フェレールはアストル・ピアソラが世に知れ渡る以前から、彼の演奏のファンだったそうです。極度のスランプに陥っていたピアソラに、タンゴとオペラを融合したタンゴ・オペリータを提案し二人の共演で発表した「ブエノスアイレスのマリア」で起死回生を果たしました。
2014年に他界した同氏は晩年もステージで自身の手掛けた楽曲を圧巻の歌唱力で歌い上げるなど、歌手としても人気を博しました。




  
そして、最後の一人は今年6月に100歳を迎える生きる伝説、オラシオ・サルガン。ピアノの名手としてだけでなく、不協和音を積極的に取り入れ、エレキギターを採用するなど大胆な発想で多くの名作を生み出してきた偉大な作曲家でもあります。作曲、編曲を手掛けた楽曲は400曲にものぼります。2010年に日本でも全国ロードショーされた映画「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」にも登場するマエストロの一人。1960年に結成した楽団キンテート・レアルは伝説の楽団と言われ、日本でも3回の公演を果たしています。観衆の前での演奏からは引退を表明したオラシオ・サルガンに代わり息子セサール・サルガンが楽団を引き継ぎ、その当時の親子の関係を記録したヒューマンドキュメンタリー映画 “SALGAN & SALGAN“が昨年アメリカ、アルゼンチン、スペインで公開され反響を呼びました。
  
3月末にティエンポが開催する桜タンゴフェスティバル。第3回目となる今年は「絶えず進化し続けるタンゴ」をテーマに今回ご紹介した3名の巨匠へオマージュの意を込めたプログラムを企画しています。
来日する音楽ユニット SIN FRONTERASのベーシスト  カルロス・エル・テーロ・ブスキーニはフアン・カルロス・カセレスの薫陶を受け、"タンゴ・ネグロ・トリオ"のメンバーとして来日したアーティスト。そして、アナ・カリーナ・ロッシはウルグアイタンゴ界の後継者としてオラシオ・フェレールに発掘され支持された歌手です。そんな二人が昨年始動した音楽プロジェクト SIN FRONTERASのコンサートは3/27 (日)にティエンポ・ホールで、また3/26 (土) には西鉄ホールでのミロンガで福岡が誇るタンゴトリオ Trio Los Fandangosとの共演で巨匠たちが手掛けたタンゴを演奏する予定です。
そしてキュメンタリー映画 “SALGAN & SALGAN“の日本初の上映会は3/26 (土) にティエンポ・ホールで開催。
興味のある方は是非ご来場ください。

桜タンゴフェスティバル ウェブサイト

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