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2012/01/05

卓越した表現力、その裏にある トップダンサーの思い




沈黙のなかの芸術。不言不語でありながら強く心を揺さぶられるその表現力。自分を誇示したり、観客受けするための表現を常に拒み、完璧に支配したそのコンパス (フラメンコ特有のリズム)にのみ身を任せる。一瞬の隙もない正確かつ複雑に叩かれる力強い足打ちは、観る者に驚きを与え、心に突き刺さる。それが、現代フラメンコ界トップダンサーの一人と称されるドミンゴ・オルテガの舞。

1969年、フラメンコの本場、ヘレス・デ・フロンテーラに生れ、8歳からフラメンコの世界に入りヘレスが誇るアルバリスエラ舞踊団に入団。舞踊家として頭角を現し始める。1989年、90年と2年連続カディス・ナショナル・コンテストで優勝を果たし、その後は、日本からの観光客も多く訪れる老舗タブラオCafé de Chinitas、 Zambra、Casa Patas、El Cordobésなどでソリストとして活躍。1993年には「Cinco Bailaores (5人の舞踊家)」の舞台で世界で絶大な人気を誇るホアキン・コルテス、アントニオ・カナーレス等と共演、舞踊家としての地位を確立する。



『なぜ踊るのか、そう自分に問いかけてみると頭に「必要性」というひと言が最初に浮かぶんです。自分を表現することの必要性、自分の希望、恐れ、探し求めているものを反映する何かを創りあげる必要性。それをやり遂げるために自分に唯一できる術・・・それが「踊る」ということ。そして、ある時「自分のメッセージをより豊かに表現するためには、一人で踊っているだけでは足りない、もっとたくさんの人と手段が必要だ」と考え始めました。そんな折、舞台製作のオファーがあり、舞踊家達を集めひとつの舞台を創る機会を得たんです。その時、自分自身の舞踊団を持ちたいという気持ちが芽生え始めました。一時的に集まるグループには興味はない、もっと野心を持った人間味、芸術性に満ちた自分のプロジェクトを創りたい・・・。』 
遂には独自の舞踊団を設立し、スペイン国内だけでなくイタリア、アメリカ、イスラエル、セネガル、日本などの海外公演を数多く実現。舞踊家、振付師、芸術監督として活躍の場は世界へと広がった。



『私は常にステップや歌の歌詞、舞台のコンセプトなどを調和させながら、「舞踊」を超えたメッセージを探すようにしています。フラメンコという芸術の豊かさ見せるだけでなく、さらに「踊る」というコミュニケーション手段を用いて観る人の心を動かす「何か」を舞台から語りかける。これが私の目指すものなのです。
私の活動はいつもフラメンコの根っこを出発点としています。故郷のへレスで幼い頃から感じ、また折りに触れ学んできたフラメンコの本質。それをベースに、後はそれぞれが個人の観点を付け加えていく。でも、私は正統派の舞踊家ではないんですよ。他と混ざり合わず果たせる進化なんて理解できないのです。新風を吹き込むことは好きですが、ただそれは伝統を尊重し、しっかりとした知識を持って、祖先が私たちに残した遺産への感謝の気持ちを持っての革新でなければならないと思っています。
他のジャンルの舞踊や音楽にも感銘を受けます。時に舞台の本質を失わないよう気をつけながら、他ジャンルの要素を取り入れることもあります。違うコミュニケーション手段を混ぜ合わせることにより、より一段と表現力が豊かになり、個性溢れる作品となるからです。チームで仕事をしていく時でも、それぞれに自分の観点、踊りや演奏のスタイルを出し合ってもらうようにしています。自分とは違う感性や見方を取り入れることは自分自身に磨きをかけるためには、とても重要だと思うんです。そうして創りあげた作品は多様性や融合を伴って、より豊かに仕上がるものです。様々な文化が混ざり合い誕生し、そして常に進化し続けているフラメンコがそうであるように。』
筆舌に尽くしがたい足捌き、表現力で高い評価を得、また現代フラメンコ界のコンテンポラリーダンスの模範とも言われるドミンゴ・オルテガ。来年2月に来日し、2つの公演出演、短期集中講座の開講を予定しています。今回、ドミンゴ・オルテガが舞台から我々に語りかけるメッセージは何なのだろうか・・・。是非会場で、そのメッセージを心で感じ取ってみてください。


■ドミンゴ・オルテガ来日記念 Domingo Ortega Flamenco Show
2012年2/17  (金)  (詳細

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