ページ

2011/02/25

59歳とは思えないポップな感性 Kuki Benski の世界

3月、ティエンポ一押しのワークショップは
アート講座講師マカレナ先生による「Kuki Benskiに学ぶアートの世界」 。
遊び感覚で楽しみながら作品作りができるので、アートは未経験・・・という方にも
とってもおすすめ。(ワークショップ情報はこちら)

Kuki Benskiって誰?という方のために、マカレナ先生が
コンテンポラリーアーティストKuki Benskiの魅力を語ってくれました。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


Amo el arte y celebro la vida
por lo bello, lo bueno y lo verdadero.


Kuki Benski (クキ・ベンスキー) 59歳。年齢からは想像できないポップな感性で、ビジュアルアート、コンテンポラリーアート界で若手芸術家の注目を集め続けているアルゼンチンの芸術家。


26歳から国内外で個展、グループ展を開催し、これまで数々の賞を受賞。米国、フランス、英国、ドイツ、スイス、キューバ、ベネズエラ、チリなど数多くの国々の美術収集家のコレクションに彼女の作品が収められています。
偶像、女性、エロチシズム、遊戯、魔術をテーマに、優しさ、無邪気さ、官能的でエロティックな要素を混ぜ合わせる手法が彼女の作品の魅力。コラージュなど多種多様な画法で、アクリル、エナメル、ポマード、スパンコールなど使用する材料もバラエティに富んでいます。彼女の手にかかれば、仮面だって画材のひとつ。そして、それらの材料を組み合わせながら、コントラストを表現していく。その作業を遊び感覚で楽しんでいる様子が伝わってくるような作品の数々です。真珠のような光沢のある色使いに、東洋の影響もみられる点も興味深いところ。


これまで、多くのコミック画を世に生み出し、インスタレーション (場所や空間全体を作品として体験させる芸術)、ビデオなどのビジュアルアート、写真、絵画など作品のジャンルも多岐に渡っています。「私は芸術を愛す。そして人生を称える。美しさも、優れた面も、そしてありのままの姿も。」自ら制作したビデオのなかで、自分の人生哲学について語っている彼女は、私が最近最も気になる芸術家の一人。


そこで、3月は彼女の作品やその画法を紹介しながら、クキ・ベンスキーというアーティストに触れてもらおうと、「クキ・ベンスキーにアートを学ぶ」というワークショップを開催することにしました。アートは初体験という方にも是非参加して欲しい1ヵ月完結の体験レッスン。皆さん参加してみてくださいね。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


アート講座講師:
Macarena Olivera  ~ マカレナ・オリベラ

アルゼンチン、ブエノス・アイレス出身。
造形彫刻家
1988年~92年 プリリディアーノ・プエイレドン国立美術大学にて美術を学び、文部省の奨学生として来日し、熊本大学で美術を専攻。これまで目にし、感じてきたアジアという異文化を自分なりに解釈し、取り入れながら制作した作品には、どっしりとした重み、深みを感じさせる。これまで数々の個展を開催。ティエンポ館内内装は全て彼女とロドリゴ・エレーラがコーディネートを手掛ける。また当団体主催イベントの会場・舞台演出も担当。アート講座担当として、様々なワークショップを実施、講師としても高く評価される。現在は、バルセロナ、ベルリン、ブエノス・アイレスなどで作品制作、展示会開催、アートイベント開催するなど、幅広く活動している芸術家。(ウェブサイト)



2011/02/10

世界に広がる「タンゴセラピー」


知っていますか? 「世界に広がるタンゴセラピー」
パーキンソン病などの認知症治療に活用されるタンゴ


 Photo by © Charlene F.
< 写真と本文は関係ありません。>

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスとウルグアイの首都モンテビデオの間を流れ、大西洋に注ぐラプラタ河。130年ほど前、世界一の河口幅を誇るこの地帯には、新天地を求めやってきた移民者がひしめきあう、雑然とした港町(ボカ地区)でした。様々な人種が共存するこの港町で、貧しい移民達のフラストレーションのはけ口として男同士が酒場で荒々しく踊ったのがタンゴの始まりと言われています。今では、世界中で愛され、2009年にはユネスコ世界無形遺産にも指定された「タンゴ」。日本でも若い世代から年配まで多くのファンがいます。
  
そのタンゴという芸術が、ここ数年新たな分野で注目され始めました。
ワシントン大学医学部は、体のバランス障害で歩行や方向変換の不安定といった障害を引き起こすパーキンソン病の患者が、タンゴを習うことで体のバランスを改善することができたという研究結果を発表。また、英国では、タンゴの複雑なステップが認知症患者の記憶力向上につながったという報告が。。。 そうです、今、タンゴがアルツハイマー病、パーキンソン病、恐怖症、自閉症といった認知症治療に活用されているのです。
一方、南ヨーロッパ イタリアでは、医療の現場だけではなく、夫婦・カップルカウンセリングの現場でもタンゴの持つある特徴が利用されています。それは、「パートナーとの信頼関係とコミュニケーション」。どのジャンルでも、ペアダンスには信頼関係が必要です。ただ、タンゴの場合、男女がしっかりと抱き合う姿勢で、女性は後ろへ、後ろへとステップを踏みながら移動していきます。この後ろへの動きを女性がスムーズに行うには、相手を十分に信頼してリードを任せることが必要不可欠ですよね。信頼関係が十分でなく、おまけにコミュニケーションが図れていなければ、決してスムーズには踊れません。この「タンゴセラピー」、新たなセラピーの形として既に日本でも話題になってきています。
  
「タンゴは様々なスタイルで踊れるので、ペアを組む患者さんに1組、1組、それぞれに合ったスタイルを変えていくことができるのが利点なんです。」と語るのは、ウェールズに拠点を置くタンゴセラピー国際団体の代表マルティン・ソテラーノ氏。「カップルや夫婦へのセラピーではアブラソ(抱擁)とコミュニケーションに焦点をあて、アルツハイマー病の患者には8つの基本ステップに重点を置き、そしてパーキンソン病の治療には優雅にしっかりとした歩きを必要とするタンゴの歩行がとても有効なんですよ。」
世の中には様々なダンスがありますが、その中でもタンゴが治療に有効なのは、自分の体のバランスはもちろん、お互いの動きを感じながらゆったりと歩いていくようにも踊れ、年齢に関係なく楽しめるダンスだからでしょうね。(言うまでもなく、ショーで観るようなすばやく、切れのある足さばきを見せるものや、アクロバットをとり入れた動きのあるもの、タンゴにも様々な踊り方があります。)
アルゼンチンの首都ブエノスアイレス最大のボルダ精神病院の4階では、患者さん達が医師や看護師たちと楽しくタンゴを踊っている姿を目にできるそうです。「人と話をするのが苦手だった患者さん、ほとんど体のバランスを維持できなかった患者さんがタンゴセラピーを始めてからというもの、頬と頬とぴったりくっつけ、タンゴの音楽に身を任せ、抱きしめ合いながら踊れるようになってきています。」とタンゴセラピーの指導にあたる心理療法士トリニダ・コチャさんはその効果をコメントしています。彼女によると、タンゴセラピーは単なるセラピーや治療薬ではなく、踊るという行為を通して「自分自身」を感じ、楽しむことができる時間を持てるのが利点なのだそうです。「次のクラスは、皆ちゃんとシャワーを浴びて、お洒落して参加するように!」 と患者さんの心を明るくするコチャさん。
2009年夏、世界中から数多くのダンサーがブエノス・アイレスに集結したタンゴ世界大会。ショーのほとんどは格調ある劇場で行われましたが、大会主催者はボルダ精神病院内にある質素なホールで入院患者さんのために特別ショーを企画しました。患者さんに見守られダンスを披露したフリオ・ドゥップラ (70歳)とナターシャ・パベラフ (50歳)のベテランペアダンサー。ダンスの最中、ステージから滑り落ちるというハプニングが起きたそうですが、会場からは拍手喝采が起こったそうです。病薬物依存で体が麻痺し入院、タンゴセラピーを受けている37歳男性はショーの後、「タンゴのおかけで体の動きを少しずつ取り戻してきている。タンゴは音楽も大好き。それに... アブラソで人の温かみを肌で感じながら踊るのは最高だね。笑」 
医者、看護師、患者という立場を忘れ、リラックスしてただ純粋に踊りを楽しむ。治療にはもちろん医学の力が必要不可欠です。しかしまた一方で、それぞれが抱える病との闘いをひと時でも忘れさせ、患者さんたちを心から笑顔にしてくれるタンゴも素晴らしい治療薬になっていると思います。                                      
   (一部、ロイター通信 -ブエノス・アイレス- 記事より抜粋 2009年)