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2010/05/02

元ティエンポ受講生 & スタッフの Kaoriさん

ティエンポのホームページ、イベントのポスターやフライヤー、そしてこのケ・パサをご覧になった方から、“どこの会社に制作を依頼しているのですか?”と時々質問されます。この全てを手がけてくれているのは知る人ぞ知る私たちのスタッフのKaoriさん(現在スペイン在住)です。今月は、そのKaoriさんが13年にわたり育んできたティエンポとの関係、そしてティエンポが模索し続ける“異文化と触れ合い、違いを分かち合うこと”について語ってくれました。




人生という長い航海、何をきっかけに大きく針路が変わるかわからないものですよね。
私にとっての大きな転機、それはやはりティエンポとの出合い。2年間のスペイン・サラマンカ留学を終え、たまたま仕事で福岡に住むことになり、たまたま友人と訪れた小さなスペイン料理屋さん。レストランの入り口横にあるらせん階段からたくさんの人が行き来しているのを眺めながら食事をしていたんです。何だか、みんな楽しそうな顔をして2階から降りてくるんですよ。とっても興味を引かれました。食後、上にあがってみると、何だか不思議な空間が。。。 それが設立したばかりのティエンポでした。

当時ちょうどスペイン語教室を探していた私に、満面の笑みでクラスの説明をしてくれたのが、サンティアゴ。「ここなら楽しくレッスンできそうだなぁ。ま、試してみるか」ぐらいの軽い気持ちでスタートしたティエンポとの付き合い。週1回のレッスン、勉強しに行くというより、クラスメートやラテンダンスクラスの人達とおしゃべりしたり、レッスン後に飲みに行ったり、それを楽しみに通っていた気がします。(笑)
当時は、薬院六つ角にある古い一軒家を改装した2階の小さなスペースにあったティエンポ。ダンスレッスン中は、振動で語学教室の床もゆれ、「床が抜けないかなぁ。。。」とドキドキしながら、授業を受けていたものですが、あの手作り感溢れるアットホームな雰囲気が私は大好きでした。そのうち、レッスンだけでなく、様々なイベントにも参加したり、イスラ・デ・サルサやアニマテのボランティアをするようになり自然と他の講座の人とも交流が広がっていきました。普段は職場と家の往復。。。そんな日常のなかでティエンポはオアシスのような存在だったんでしょうね。

ある日、サンティアゴからスタッフを探していると誘いを受け、私の「心のオアシス ティエンポ」が職場になりました。いち生徒だった時には想像もつかなかった「ティエンポ創り」の舞台裏。仕事の厳しさ、大変さ、文化背景の違う人達と一緒に仕事をしていく難しさに正直、戸惑いというより、自分の無能さ、無力さを感じず~んっと落ち込んで毎日帰宅していたのを覚えています。非営利団体としての立場、考え方というのは、一般企業で仕事をするのとは違い、頭のチップを切り替えないと誤った方角へ行ってしまうんですよね。でも、どんなに仕事がハードでも、「何かを創り上げた」後、参加した人たちの心からの笑顔を見ていると疲れも吹っ飛んでいきました。それに、ティエンポという職場は様々な人種の集まり。日本の企業のような上下関係、考え方、雰囲気とは大きく違い、やる気と責任感さえあればどんどん自分の意見を聞いてくれる、またその仕事も任せてもらえる。意見の相違をとことん話し合い、一緒に物を創り上げていくなかで、信頼関係も自然と築かれていく。そんな環境が私には合っていたのかもしれません。ティエンポで仕事を始めるまでほとんどパソコンの知識などなかった私が、今ではグラフィックデザイン、Webデザインを仕事にしています。当時、事務局のメインスタッフは5人。とにかく、何でも自分でやっていくしかなかったんです。「足りない物は即購入」ではなく、工夫をしてある物から作り出す。だから、自然と多くの事を学ぶことができました。講座運営のこと、イベント企画のこと、レストラン運営のこと、これまで聞いたこともなかったようなジャンルの音楽やダンス。。。 好奇心を掻き立てられ、大学受験の時より真剣に勉強していたような気がします。(笑)
サンティアゴ(現センター長)、ゆかりちゃん(元事務局長)からは叱咤激励されながら、数え切れないほどのことを学び、アートの世界なんて全く興味のなかった私にとって、ロノ、マカとの出会いは現在の仕事に巡り合うきっかけとなり、今も大きな影響を与え続けてくれています。そして、ティエンポを通じ全国の様々な方と出会い、海外からやってくるアーティスト達と仕事をともにしたことも、私自身の物の見方、考え方などに大きな刺激を与えたと思います。人種、世代を超えた人との触れ合いが私を成長させてくれたんでしょうね。


天神移転当時のスタッフ: 左からAndyさん、Kayokoさん、Kaoriさん、Yukariさん。



スペイン留学、そしてその間の海外旅行を経て、ちょっと世界を知ったようないい気になっていた私。ティエンポに出会って、単に海外に行きその国を見て周ることが世界を知ることではないことを理解しました。ティエンポのコンセプトである、「違いを分かち合い・・・」まさに、それが世界を広げるキーワードだと思います。「異文化」というのは、透明なガラスであり、自分を映し出す鏡でもあると先日ある方がおっしゃっていました。異文化に触れる際、透明なガラス越しに自国の文化とは違う物が目に入ってきますが、それと当時に、その違いは自分自身を映し出す鏡にもなる。そして鏡に映った自分を改めて見つめ直すことができます。ティエンポには、様々な種類のガラス、鏡がそこら中に張り巡らされていると思うんです。しかも、日本に居ながらそれが体験できる。私にとってティエンポはそんなかけがえのない、貴重な存在です。今 日本から遠く離れたスペインに住んでいても、やっぱりティエンポにある鏡を見つめ続けているような気がします。
ティエンポと出合って13年。外観が変わっても、スタッフが変わっても、昔も今もティエンポは自分を映し出す鏡だと感じています。





    

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