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2010/02/01

類まれな音楽性、演奏テクニックを持つ ギタリスト、レオナルド・ブラボ

ティエンポのギター講師として活躍するレオナルド (通称レオ)、お話するととっても気さくで愉快な人。ギタリストとしては、天才的なテクニック、感性の持ち主。
日本在住歴7年、昨年はパパにもなったレオにクローズアップ!




「幼い頃、日本映画で見たふすまや障子、日本家屋などがとても印象的でした。それ以来『いつかはこの目で日本という国を見てみたい』と思うようになったんです。
今、幼い頃から夢見た『日本』に住んでいるのですが、そのきっかけはいたって簡単。結婚した相手が、日本の女性だったんですよ。(笑)」

2003年にアルゼンチンから生活の拠点を日本に移したレオナルドさん(以下、レオ)、その経緯をこう語ってくれました。来日前から諸外国で演奏活動を行い、その音楽性、演奏技法で高い評価を得ていたレオですが、地球の反対側にあり、祖国アルゼンチンとは文化も生活習慣も全く違う日本での活動、初めはとまどいもあったそうです。

「演奏する国によって観客の反応って違うんですよ。リアクションの大きな観衆の国、表面的にはそんなに感情を表に現さない人達もいますしね。日本に来た当初、演奏後に観客席から聞こえてくる拍手が小さくて、ちょっと冷たい印象を持ちました。だから、いつも、きっと自分の演奏が気に入ってもらえなかったのかなって気になっていたんですよ。でも、ステージから降りると、それぞれ違う方法で演奏の感想を際限なく表現してくれる。そこで、やっと気付きました。観客の反応は、いつも演奏への満足度と比例するものではないってこと。日本の観客の皆さんの拍手が小さく、そっけなく感じたのも、満足していなかったからではなく、礼儀正しい国民性、ステージに立つ者への敬意からの反応だったのだな、と思えるようになったんです。」
 
演奏だけでなく、指導する際もアルゼンチンと日本では違いを感じるそうです。日本人の学習における勤勉さ、熱心さにはとても感心していて、文化も国民性も違う日本でのギター教育はとても興味深く、自分自身を豊かにしてくれる経験になっているそうです。
「日本の生徒に教える難しさはないですよ。逆に、自分のつたない日本語の方がレッスンの障害になってるかも。(笑)だから、生徒の皆さんにはいつも感謝!です。」というレオですが、日本語の上達の早さには、周囲が驚くほど。ギターを教えながら、生徒さんとの交流でご自身もいろいろ学んでいらっしゃるのでしょうね。
 
来日前から日本の文化にとても興味のあったレオに、日本の好きなところを聞いてみると、
「有言実行の精神、礼儀作法、効率の良さ、伝統的な表現、文楽、茶道、弓道、歴史的建築物、陶芸、古典文学...。たっくさんありますよ。(笑)」。
特に、日本の文化的な表現法や道徳観は洗練された美の最高表現だと感じていて、とても好感を抱いているそうです。
「日本の生活で見聞きし、感じる様々なことが、自分の音楽創りにも大きな影響を与えています。作曲の形式に変化はありませんが、新たな音楽性が生まれたのは確か。それに、アルゼンチンの音楽への見方も変わりました。それは遠く離れて、外から自分の国を見るようになったことで、これまでとは違う音楽の解釈や母国への郷愁、様々な思い出が自分のなかに新しい音を生み出したんでしょうね。今、自分はアルゼンチンにいた時より、アルゼンチン人だなぁ、って感じますよ。(笑)」
 
前号で紹介した箏奏者の河原伴子・抄子さんや尺八奏者などと異なるジャンルの楽器と共演し、音楽の交流も積極的に参加しているレオ。ギター以外の楽器、それも文化的に大きな違いのある日本の伝統楽器奏者と一緒に演奏するのは、自分を豊かにしてくれる貴重な経験で、とても魅力を感じているそうです。
「新しいジャンルの楽器との演奏は、最初は不思議な音色の組み合わせに聞こえるのが、最終的には全く新しい、新鮮な美しい調和へと辿り着く。そのようにして生まれ変わった音の世界は、聴衆とのまたひと味違ったコミュニケーションの手段の新たな出発点のようなものだと思うんです。他のミュージシャンと音楽をともに創り上げるというのは、本当に楽しいものです。」

今年も、バイオリン、コントラバス、バンドネオン、クラリネットとのタンゴアンサンブルを編成する予定があるレオ、これからも様々な文化背景を持つ楽器との共演から益々レオの音楽性は広がっていきそうですね。


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Profile

Leonardo Bravo (レオナルド・ブラボ)

アルゼンチン出身。演奏家としてアルゼンチンを始めブラジル、チリ、ボリビアまたヨーロッパ、北米で活動を展開。2003年11月に来日し現在は東京を拠点に演奏活動の他、作曲家、指導者としても活躍しており、これまでに独奏、アンサンブル、指揮者、としてCD11枚をリリース。2009年 アメリカ合衆国マーシャル大学で講演、リサイタルを行い、ジョン・エドワード特別講師美術賞を受賞。同年10月には小松亮太氏と共に日本フィルハーモニー交響楽団とアストル・ピアソラのバンドネオンとギターのための協奏曲「リエージュに捧ぐ」を共演する。

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